無題 5/2


私ね、気づいてしまったんです。

自分自分が忍者だってことに。

だってね、気づかないんですよ。私がそばに居ても誰も気づかないんです。

だからね、いくら研究室に居ても全く話が振られないです。

会話に参加しているつもりでも、“つもり”で終わってしまうんです。

しかたないんです。私は忍者ですから。

自分でも気づかないうちに気配を消してしまうんです。

困った職業病です。

忍者は誰にも気配を気づかれてはいけないのです。

気がついたら忍者になっていました。でも忍者仲間にあったことがありません。

きっと忍者仲間の人たちも気配を消しているのでしょう。

忍者は隠密行動が基本ですから。

だからって寂しくなんかありません。隠密行動には慣れてますから。

昨日は隠密行動でした。今日も隠密行動でした。きっと明日も隠密行動でしょう。

そして明後日も。さらに明々後日も。


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